【山形交響楽団 庄内定期演奏会 第24回鶴岡公演】


 

  
モーツァルト/交響曲 第25番 ト短調 K.183
ダヴィッド/トロンボーンのためのコンチェルティーノ 変ホ長調 作品4
------(休憩)-----
モーツァルト/交響曲 第38番 ニ長調 K.504「プラハ」

2015.08.09(日) 鶴岡市中央公民館
指 揮:飯森範親
コンサートマスター:高橋和貴
トロンボーン:太田涼平

それにしても今年は雨が降らない。東北地方の雨雲は一体どうなっているのか?

およそ一年ぶりの鶴岡定期、午後4時開演というので少し早めについてロビーでゆっくりしていたら、団員さん達があちこちから湧き出てきたように現れ急ぎ足で移動していく。倉田さんなどは階段を一段飛ばしで昇っていった。若いなあ…

南陽市には新しいホールが出来たようだが、鶴岡のはまだやっと工事が始まったばかり、早期の竣工を願うが…
そんな中プレトークが始まった。
今年の五月から専務理事に就任した西濱秀樹氏が一人舞台に登場するとパラパラと拍手が…
それを逆手にとっての冗談に会場が沸く。すぐに飯森音楽監督が盛大な拍手の中登場し二人のコント?が始まった。

西濱氏の前職は某大手予備校に勤めていたらしいが、その前は関西の某オーケストラの事務局長をやっていたそうで、その辣腕でオケの発展に寄与したそうだ。音楽監督とはその頃からの知り合いらしく十数年来の付き合いだという。つまりは山響を再建するためにヘッドハントされた人物と解釈して良いかと思われる。
大阪生まれとのことで、ボケも突っ込みも非常に鋭いキレをもった人物であり手腕が期待される。

この日の演目はモーツァルトが2曲とダヴィッドという聞き慣れない作曲家の作品だ。モーツァルトを調べたら、25番が2011年6月11日に、38番プラハは2014年4月12日に山形テルサで聴いている。プレトークでは25番がアマデウスの交響曲の中でたった2曲の短調での作品の一つであること。38番は解説書を読んで下さい。なんて冗談のような解説をしていただきました(笑)

拍手の中団員さん達が次々に登場します。この光景ずいぶん長く見ていないような錯覚に陥りました。考えてみたら今年の2月以降演奏会に来てないからね〜
団員さんの顔ぶれにも変化があります。見慣れない顔が多いな何て思っていたら2ndVlnとVlaの首席が客演でコンミスの有里さんの姿もありません。???
なんて事を考えていたらコンサートマスターが颯爽と登場しました。???

今期からソロコンサートマスターに就任された高橋和貴氏です。なかなか濃いキャラの方でして、まあ、一度見たら絶対に忘れないタイプですね。(汗)
念入りなチューニングの後に颯爽と音楽監督が登場しすぐに演奏が始まりました。いやあ、久々に聴く25番は良い感じです。第1楽章の独特なシンコペーションは聴いていると気分が高揚してきます。指揮者は暗譜ですからオケから視線を外すことはありません。拍子の変わる場面では大きく息を吸い込み、吐き出すのと同時に一気に右手を振り下ろす。すぐに続く音色の何と素晴らしいことや…ファゴットのソロが光る場面です。
この醍醐味が最高に気持ちが良く忘れられないのです。

第2楽章は一転して静かにゆっくりと、たぶん弱音器を付けたVlnの音がなんとまあ嫋やかなこと…
Flの足達さん、Obの真咲さん、Fgの上野さんの木管三重奏は実に見事でした。
以前聴いた演奏より良かったのでは?
そんなことはないと思いますが、ホールも小さい分雰囲気も変わりとても楽しく聴くことが出来ました。

続いてダヴィット、舞台替えのため団員さん達が一旦退場すると音楽監督が息を弾ませて登場しました。もちろん解説のためです。
ダヴィットを知ってる方はいますか?と聴衆に質問したら数人の方が挙手、それほどポピュラーな作曲家ではないようだ。もちろん筆者も初めて聞く名前です。
フェルディナンド・ダヴィッドは1810年のドイツ生まれのVln奏者、作曲家で、1836年にゲヴァントハウス管弦楽団のコンサートマスターに、当時指揮者だったメンデルスゾーンの推挙により就任したそうです。

有名なメンデルスゾーンのVln協奏曲はダヴィッドのために書かれたものだそうで、音楽監督の話では作曲時にはメンデルスゾーンにかなりアドバイスしたようです。
今回演奏される協奏曲は、歴史上トロンボーンの四大協奏曲の一つと言われているのだそうで、それらの中でもよく演奏される楽曲だそうな。
ちなみに他の作曲家は、ザクセ、ライヒェ、グレーフェと言うことだが、誰も知りませんがな…(汗)

今回のソリストは山響のTb首席奏者の太田涼平氏、音楽監督曰く、イケメンで格好良いのだそうな…
盛大な拍手の中颯爽と登場します。なるほど、なるほど…
女の子の叫声が聞こえてきそうな気がします。
演奏が始まるとブラスの響が会場に溢れます。初めて聴く曲ですがどこかで聴いたことがあるような錯覚に襲われました。いやあ、この曲実に良いですね。と言うか非常に聴きやすい曲であります。
第1楽章から第3楽章までぶっ通しで演奏され、気がついたら終わっていた(笑)てな感じでした。

ブラボーの声があちこちから掛かりました。盛大なカーテンコールが続きます。アンコールは…
ソロの楽曲でしたが忘れてしまいました(大汗)
てなことで休憩です(汗)
喉が渇いたので一旦会場を出て冷たい飲み物を探してウロウロと…

後半のメインは38番プラハ、この名曲は私ごときが感想を書ける筈もございません。
この日の指揮者はモーツァルトの作品2曲とも完全暗譜でした。ステージには譜面台すらありません。それはかなり多いと思われる演奏回数を暗示しております。
静から動へ誘う音楽の間合いは流石と言うほか言葉が見つからないですな。
新コンマスの踊るような演奏はオケをグングン引っ張りますと共に、観客をも間違いなく感動の渦中へ引っ張り込んでいきます。いやあなかなかパワフルなコンマスが入団致しました。今後の展開が楽しみです。


次回は来年3月の酒田希望ホール、庄内のファンにとって、これって長すぎません?
庄内での年4回公演の早期復活を強く望みますが、いろんな面で問題があるのでしょう。でも何か良い方策があるように感じます。
例えば楽団員の方達は庄内には結構頻繁にいらしているようで、それは個人的な演奏やスクールコンサートなども含みますが、中でもスクールコンサートなんてもったいない気がします。だって小規模な小学校なんて全校で十数人なんてのもあったりしますから、観客数よりオケの人数の方が多いなんて冗談のようなコンサートも実際あったりします。

以前誰かに聞いた話ですが、猛暑や極寒の体育館での演奏会より、複数校まとめてどこかのホールで開催する方法とか、せっかくの機会なので保護者も参加させるとか、オーケストラの日のように、ワークショップとか楽団員との交流する場をもっと設けて、山響にもっと親しんで貰うとか…
多分西濱新専務理事あたりが中心になって色々模索している段階なのでしょうが、以前より大分改善したように思っていますが、オケの再建には全県を上げての底上げが絶対条件になるのかななどと勝手に考えております。それには音楽を聞いて貰うだけでなく、各地に確実にファンを増やす「交流」がとても大事な要素となるのではないでしょうかね。
などと勝手な妄想に浸っているのでございます。